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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
残酷な童話は語り尽くしたと足腰伸ばすあたしの老婆
栃の実を拾へる童子見張りをるけもののけはひ、紺青の時間[とき]
扇風機を胸に抱きてはこぶときしづかにまはる透明の羽根
iPhone谷間に挟めばパイフォーン着信音に胸ときめいて
わたしの影が私の鍵穴であるやうに霧雨の空を飛べる黄揚羽
大輪の花火はじける五億年後にぼくたちの化石をさがせ
客電が落ちれば良夜/河岸に劇場〈銀河〉現れて消ゆ
停電の夜に着せたる赤い服あらたな犬に着せて歩めり
五年目の一斉捜索 私の時は五日経ったら忘れて欲しい
燃えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火
見るかぎり赤信号となる道を渡りゆくなり影もたぬもの
雲梯のうえから見ていた校庭にわたしがいないことの正しさ
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