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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉野 裕之
夕光(ゆうかげ)の揺れる縁側 父がいて父のフォークが柿を刺したり
世界ばかりが輝いてゐてこの傷が痛いかどうかすらわからない
───、そして気がつけば君は子犬を抱き上げている
君の落としたハンカチを君に手渡してぼくはもとの背景にもどった
秋陽さす空の港に集ひゐるつばさ拡げしままの巨鳥(おほとり)
紙ヒコーキが日に日に紙にもどりゆく乾ける落葉だまりの上に
ユーラシアより来しもののしづけさに鯉はをりたり大砲(おほづつ)のごと
でもなあ散るにも重たげなのがなあハナミヅキどうにかならないか
初雪やてのひらに受け歩を止めてみんな近しき人となる街
もくれんのわらわら白いゆふぐれは耳も目鼻も落としてしまふ
夫と子と季節のはざまに変態し擬態し女らやはらかくゐむ
あなたにはあなたの雲の数へ方ある 新しい眼鏡が似合ふ
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