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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
光ふるさなか石原吉郎の断念を思ひ冬の草ふむ
小さき粒子の集まりに過ぎぬものなれど写真は語るまことらしきもの
女とはかかるものにて妹が晴着脱ぐとてまたおほさわぎ
モーニングコール十分前から待つ夫とローマ二日目いさかいをせり
あたたかきパンを齧りて口早にきみが「せんそう」と言う一瞬の闇
飴玉の包み紙をすてるまえに折りたたむひと そのくせつめたい
「気持ち塩を入れます」時のその気持ちよく分からない 白菜しんねり
触れられて哀しむように鳴る音叉 風が明るいこの秋の野に
惡意には二、三パターンあるけれど玉子のやうに見わけつかない
私といふ本に目次はありません好きな所からお読みください
読み終へて本を閉ぢれば作中の人らそのやうに在る外はなく
報道がテレビに移る過渡期なる四半世紀を新聞にあり
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