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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
私の中の古さとあなたが言い放つものがやさしさなのです私の
〈物言わぬ兵士〉にされし馬ありき誰もだれもが必死に生きて
ああぼくが愛した白いブランケットに今年の秋の光が積もる
海に向く硝子のレストラン音もなくサヨリのやうなボーイ寄り来る
野菜たち官能的な蕊匂わせ生殖している夏の菜園
英霊の生きてかへるがありといふ子の骨壺よ振れば音する
玉砕の父の短き人生に恩給というつぐないきたる
筒型のMRIに万歳のかたちにありて想ふ回天
兵隊サンの妻でも母でもない幸福を時々忘れてしまふ さくらよ
そのまま行かば危き道なりと知りつつ来たりまさに到りぬ
八月の耳はとがれりバケツ打つ雨音しきりにポツダムポツダム
「父を夫を英霊と呼ぶな」プラカード高く掲ぐる敗戦記念日
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