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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
棚木 恒寿
かぎりとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり
夏にみる大天地(おおあめつち)はあをき皿われはこぼれて閃く雫
蔽はれしピアノのかたち運ばれてゆけり銀杏のみどり擦りつつ
冬の医師とわれは思へり椅子ひとつ持ちきて夕べ白くゐるひと
けものらは滴(しず)ける闇に骨を解き冬の韻(ひび)きのとおく聞こゆる
芋切り干しの端を噛みつつ見上ぐれば晴れわたる空に恥じらいはなし
くれなゐの薔薇(ばら)のかさねの唇に霊の香のなき歌のせますな
木の柵に進入禁止と記さるる言葉の後ろに回つてみたり
心とはそれより細きひかりなり柳がくれに流れにし蛍
高雲は夕映えしつつ鉄筋のアパートが曳く影の鋭角
梨の実は固きままにて熟しゆく花びら落ちし日の清しさに
立葵われにすこしの過去ありぬ帽子をやめて日傘をひらく
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