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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
山城のみづのみ草につながれて駒ものうげに見ゆる旅かな
三年ガラス拭かぬわれが日に五たび床を拭き床に映る鳥影
大き団扇持ちて机辺に胡坐せりむろんく-ら-はあまねかれども
声もたぬ樹ならばもっときみのこと想うだろうか葉を繁らせて
耳を切りしヴァン・ゴッホを思ひ孤独を思ひ戦争と個人をおもひて眠らず
海風は君がからだに吹き入りぬこの夜抱かばいかに涼しき
馬駆けて馬のたましひまさやかに奔騰をせり したりや! 〈葦毛〉
わが生にいかなる註をはさめども註を超えつつさやぐ青葉は
ひいやりと猫過りたり元号に先帝の死後の時間を数ふ
モデルハウスの扉(ひ)を鎖(さ)し出づるこの街の真偽おぼろに暮れそめむとす
緑蔭に〈不生不滅(ふーしやうふーめつ)〉蝉しぐれ妻と浴びをり〈不垢不浄(ふーくうふーじやう)〉
真夜中の鉄棒に手は見えざれど誰(た)が握力か残りてゐたり
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