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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
桜咲くこの序破急にうつつなく残り少き時間割きをり
六月の雨吸ひつくしたる量感に山あり山の木木は立ちたり
僕らには未だ見えざる五つ目の季節が窓の向うに揺れる
新しき眼鏡にせんと思いおり苦しみてもの書きたるのちに
漂へるたましひのかたちエシャロットの若根をきざむ桜まふ午後
衣着けし犬がひかれてゆく土手に野良犬が首をあげて見てゐる
父の口に運ぶ白粥ほろほろとこぼれてしまう白はせつなし
職場の恋職場で話す 友は彼を「〈七階〉が」って居る階で呼ぶ
砂時計ひっくり返す人消えて針の時間が追い越してゆく
傘さしてゆくにんげんをわらひをりたつぷりと雨にぬれて樹木は
森茉莉は美少女なりきひとめぐりすれば老婆となる鷗外展
五分ほど遅れてをれば駅ごとに日本の車掌は深く深く詫ぶ
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