石川 美南のアーカイブ

木漏れ日がまだらに照らす人の顔凹凸はもうさびしさに見ゆ

断念の思いきっぱりとさびしきに痩せたる川に冬の底見ゆ

牡丹雪樹林(じゆりん)にふかくふりこめばかくも豊かにてものみなゆらぐ

スパンコール、さわると実は★だった廻って●にみえてたんだね

胃からりんご。/りんごの形のままでそう。/肩はずれそう/この目。とれそう

雪の上を驟雨過ぎしが数千の地下より天に向けし銃口

雪は雪待たず溶けゆき〈私の輪郭〉などは見なくてよいぞ

誰れの志(こころ)を裁ちてひかりて落ちたるとあした畳に咲く冬の針

目覚むれば胸底までもひびき入る蛇口のしずくは乱れもなしに

夥(おびただ)しき手は遠のきて夕暮れにジャングルジムは光をのせる

声挙げた者は省かれ しずけさの粒子となって雪はふりつむ

わが童話聞くべく集まり来し児らに氷菓買うべく銭をかぞうる

壁の線横に流れるものだけが速度のなかで消されずにある

やめようときめたのは尖端ではないのだらう蔦があんなところで

水鳥の頸のかたちの親指が吊革にあり首都冬に入る

妹とわれとあはせて百キロの巨漢となればあはれ自転車

着るたびに気づき脱ぐたび忘れたり今にもとれそうな喪服のボタン

派や系でくくって話す 単純化した部分だけ伝えるために

木の命気負いしころもあるならん下駄の木目に素足を載する

きざすとききみはいなくて弦楽のうねりに脚をからめていたり

夜の風はしげく吹き入り先生はかけ衣(ぎぬ)の下に動くがにみゆ

風狂ふ桜の森にさくら無く花の眠りのしづかなる秋

夕霧にほのか濡れつつローソンの青き光をくぐる獅子舞

ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる

おなじ地におなじ木ならび今日もまたおなじ葉と葉とあひ触れて鳴る

ねむりつく方法みつけられなくてあるだけ莢の豆はじきだす

それはもう判このようなさびしさを紙きれの上に押してもろうた

歯車の無数なる歯が噛み合ひしまま静止せる闇夜とおもふ

青年の歯科医にわが歯盗ませてきたり内部にかがやく言葉

桃色の服をあてがふ試着室にゴキブリの子の走り去る見ゆ

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