コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
年寄りの冷や水だらうと人の言ふお年寄りには温かい茶を
ひとふさの葡萄といへど手に余り内なる闇のかがやきにけり
山みれば山海みれば海をのみおもふごとくに君をのみ思ふ
座席には互いに快適に坐ろうぜ詰め合って窮屈に坐ることはない
秋雨は芯まで雨だ むらさきの傘しばりつつ階段おりる
南の洋(わた)の底ひに水漬きつつ 白じろとして 面わ冴えゐる
散りそうに襟は揺れたり風ばかり渡りゆく橋ひとり越ゆれば
伜なる俺をときをり忘れをり忘れられしは涼しもたらちね
お笑いの画面を消しておもむろに笑わぬ前の顔に戻しぬ
薄明のままに明けない日のやうに卵の殻のやはらかな白
見えぬものを遠くのぞみて歩むとき人の両腕しづかなるかな
いつも君は犬に好かれき見知らざる犬さへ千切れんばかり尾振りき
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
固定ページ
4
…
固定ページ
13
次のページ