コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
なまなかな情けかけられ情けなくなりたる身体(からだ)湯に沈めゐつ
木のこゑと風のこゑとがまじりあふ秋の硝子を磨きてをれば
さかんなる火事に見ほるるわが顔を夢にみてをり何燃えてゐむ
「どこにゆくのだどこにゆくのだ」走ろうとしても砂漠は許してくれぬ
我が手相見つつおどろき言わざりし人は何見しはやばや逝きし
日だまりの石ころのやうにしみじみと外勤の午後のバスを待つ
ひとみ冴えてわれ銀河へと流れこむ両手(りやうて)をひろげてひとりは重し
秋風(しうふう)に思ひ屈することあれど天(あめ)なるや若き麒麟の面(つら)
曖昧なることばに輕く手をあげて昭和天皇いづくにゆきしや
うつぶせに眠る娘の背に落ちて月のひかりはまだ新しい
ポケットに電球を入れ街にゆく寸分違はぬものを買ふため
名殘(なごり)とはかくのごときか鹽からき魚の眼玉をねぶり居りける
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
3
固定ページ
4
固定ページ
5
…
固定ページ
13
次のページ