Archive for the '今日の一首鑑賞' category

ご先祖さま曰く「あ、WiiFit!……型の体重計て……ホンマに萎える」

アダムの肌白人はしき白といひエチオピアの子は褐色といふ

パソコンの〈ごみ箱〉に棲むテトリスをときをり呼びてまひるま遊ぶ

かなしみはひとふりのむちせかれつつ歩むわが背に響く風音

プレステが解禁となる受験後の一戦早くも()られておりぬ

たどりつく浜の薊に羽根ひらきあさぎまだらは全身さらす

たまごっち・オスっち・メスっち・てんしっち 育児・生死(しゃうじ)も手のひらに載る

セイロンの紅茶淹れつつ思ふかなこの葉を摘みし人の指先

ファミコンはいつ買つてくれるかと電話にておもひつめたる声で言ひけり

寒雀このあかつきのさへづりにおもてただしてわれはありたき

雨宿りせし駄菓子屋にインベーダーゲーム機ありき あの夏のこと

午後の陽は卓の向かうに移りきて人の不在をかがやかせたり

TODOのリストに子どもの一日の話を聞くことを追加する

発音で出自が知れるイギリスの階級社会を強く憎めり

to doを書き出すことを脳内のto doリストの筆頭に置く

やさしさはこころのはじめ水こえて来たる子の眼のなかの冬蝶

2月5日の夜のコンビニ 暴力を含めてバランスを取る世界

カナリヤの囀り高し鳥彼れも人わが如く晴を喜ぶ

靴下は穿くためにある――十二月二十四日の母の口癖

枝を過ぎ葉に触れはにふれそしてみなわが眼のなかへ雨おちてくる

春泥を踏みつつゆふべ帰り来て皮膚脱ぐやうに靴下を脱ぐ

みづからを家の深くに進めゆく音せりよるの老い母の杖

利己的な点すこしある友人の話題が靴下ストッキング のことに戻る

ペンギンに踏まれる感触の夢さめて満ちくるごとく身に力あり

つま先に灯を点すような恋だった 靴下を履くことを覚えた

鍋の火を消してふりむく裏口の暗さの向こう燃えている空

君の弱みのごとく見ている靴下の裏側すこし汚れいたれば

マンションより月夜に箱を運び出す男に淡き尻尾がありぬ

少しやさしくされると少し気になってしまう単純 靴下を脱ぐ

淡雪にいたくしづもるわが家近く御所といふふかきふかき闇あり

月別アーカイブ


著者別アーカイブ