Archive for the '今日の一首鑑賞' category

原発が来りて富めるわが町に心貧しくなりたる多し

すがれゆくパルテノン多摩若すぎて憎まれるうちに教授になりたい

流されて家なき人も弔ひに来りて旧の住所を書けり

あさかげの今井美樹的東京を数度(すたび)おとなひ数たび憎みき

苦しいと思えば呼吸を思い出す/苦しいと思えば浪江を思い出す

聡きことわづかに憎し主もたぬ犬さへひとを嗅ぎわけて寄る

被災せし人は誰も見ず 鳥瞰的津波映像を見るはわれらのみにて

しどけなく電車に眠る少年の微かにひらくくちびる憎し

若狭より水を送りて大和にて汲みあげている春の仕来り

愛告げてのちの夕映え 理科室に聞きくれし友を憎みはじめぬ

はまぐりの汁澄みとおる雛の夜に俄かに母の老いふかみゆく

わが(ひげ)
下向く(くせ)がいきどほろし
このごろ(にく)き男に似たれば

薄墨のひひなの眉に息づきのやうな憂ひと春と漂ふ

夜の公園にポケモン探せと奨励せしこの世あまりに小さき日本

雨の日はももいろの傘さしてゆく幾千のももの桃色のあめ

親にスマホもPSPも取られて良かった自由ですと日誌にあり

湯に入れば湯殿に母はつき来り我が背を撫でて泣きたまふなり

裾上げを待つ ストIIのデモ音がやけに響いているゲーセンで

葦の間に光る水見ゆをさなくてかなしきときも川へくだりき

ご先祖さま曰く「あ、WiiFit!……型の体重計て……ホンマに萎える」

アダムの肌白人はしき白といひエチオピアの子は褐色といふ

パソコンの〈ごみ箱〉に棲むテトリスをときをり呼びてまひるま遊ぶ

かなしみはひとふりのむちせかれつつ歩むわが背に響く風音

プレステが解禁となる受験後の一戦早くも()られておりぬ

たどりつく浜の薊に羽根ひらきあさぎまだらは全身さらす

たまごっち・オスっち・メスっち・てんしっち 育児・生死(しゃうじ)も手のひらに載る

セイロンの紅茶淹れつつ思ふかなこの葉を摘みし人の指先

ファミコンはいつ買つてくれるかと電話にておもひつめたる声で言ひけり

寒雀このあかつきのさへづりにおもてただしてわれはありたき

雨宿りせし駄菓子屋にインベーダーゲーム機ありき あの夏のこと

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