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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
垂り出づる何の脂か蒸しあつき夜にかがやきを含みたり見ゆ
赤ん坊をわれに抱かせたがる息子とほいとほい日の自分をみたきか
冬ばれのひかりの中をひとり行くときに甲冑は鳴りひびきたり
ペットボトルのラベルを剝いてゐる夜に無名の我をしづかに思ふ
僕たちのドレッシングは決まってた窓の向こうに夏の陸橋
感情を出さざる女と言はれたり片足上げて目をつむりて立つ
海の音しずかになれる春の夜の浜辺に出でて泣く砂を踏む
少数者つて言ふのに嚙んでしゆうしゆうとそのうち静かになる曹達水
鉛筆がひろげし紙にぐっすりと眠るほとりを立ちて来にけり
きみが好き きみのこころは好きじゃない うそ こころについてはわからない
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