2009年01月のアーカイブ

単純でいて単純でいてそばにいて単純でいてそばにいて

鬼の面はづしてみればあはあはとひかりあひつつうみに咲くはな

かかる深き空より来たる冬日ざし得がたきひとよかちえし今も

吊られあるわがオーバーの若き日の父立つに似ていきどほろしも

ゆるやかに櫂を木陰によせてゆく明日は逢えない日々のはじまり

好きなヒトと好きだったヒトが一階と二階に眠り春の雪降る

こうやって子供を好きになってゆくのだろう青に変わるまでの信号

くたびれた軍手が燃えるうつくしさ人は眠りぬ我も眠らむ

世に別れ去りたる人よ 目に見ゆる近き他界として空はあり

冬の夜の洗面台に忘れたるくれなゐの櫛おもひて眠る

冬の朝つめたき陶となる髪に従容と来てひとは唇触る

寄るべなき思ひにひらく枕絵の火鉢に赤く炭は燃えをり

なだれこむ青空、あなた、舌の根をせつなくおさえこまれるままに

たそがれてゆく樹木らもしばらくは影暖かし人のごとくに

みづからの恋のきゆるをあやしまぬ君は御空(みそら)の夕雲男

トウキョウノユキハナキムシぐちゃぐちゃに轢かれた青い雑誌を濡らす

父さんを忘れたと母が言ふときの父さんは空に咲くはなみづき

流れよる雪のひとひら幸あるは少女のうすき手のひらにのる

影として水面うつろふ水鳥にこころ寄りゆくふたり黙せば

カレンダーの反り美しき一月の泉のごとき十日間ほど

うしろより母を緊めつつあまゆる汝は執拗にしてわが髪乱るる

残り世の半分(なから)は眠らねばならぬ樹齢のながき杉の鬱蒼

きみの名とわたくしの声吸いこめるケルト渦巻模様円盤

からだの中の柊を見てゐるやうな君のまなざし 逢ひたいと言ふ

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