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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年9月
時間がない ように咲きいる曼珠沙華母の庭には母しかおらず
はまゆふのそよがぬ闇に汝を抱き盗人のごと汗ばみにけり
人恋うてつつましすぎる若さなど杳(とほ)く眠らせ秋の水くむ
膝がしら並べていたねゆるしあう術もないまま蝶を飛ばせて
金木犀 母こそとはの娼婦なるその脚まひるたらひに浸し
いつの世か会ふといへども顔も見ず訣れしゆゑに吾子とわからじ
房に入り我れの虜のこおろぎよ澄みたる音色さむざむとして
あなたとふ存在を愛で秋の陽の黄金(くがね)をも賞で陸(くが)澄み渡る
体臭のなき男かなと思いしが夢にはかなくよみがえりたり
輪郭があいまいとなりあぶら身の溶けゆくものを女(をみな)とぞいふ
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