2011年11月のアーカイブ

溶けあうものすべて溶けあいからみあう声が木馬のごと揺れるなり

冬牛蒡せいせいと削ぐ時の間も詩語ほろび詩となる言葉あり

眼路のかぎりみはるかす冬黄昏の地平どこまでわれらが地球(テラ)

おまえの世界に存在しない俺の世界のほぼど真ん中ガムを噛んでいる

寒へ向かふ季節(とき)にして軒の干し柿は含羞の粉(こ)を加へゆくなり

黄楊の葉にさがる蜘蛛の子うつつには見えざる糸をのぼりはじめつ

塩振りてひとりの轢死払ひ去る夜半の詰所(つめしょ)に食に戻りぬ

ラッシュアワー過ぎしホームに梯子もて時計の針をなおす人見ゆ

何ものかを守るかたちに擦る燐寸バーナーに湯を沸かさむとして

水喧嘩かなたに見えてかげりくる厩のさくら散りそめにけり

のどを疾み苦しき朝は― 鳥の影 われより低く飛べるを見たり

田楽を食いつつ見居り真上から眼をほそめ見る夕日の紅葉

満ち潮がかえりくるころ船たちは橋くぐり抜け川船となる

秋のよるもう寒いねと傳八で品書(しながき)見をり おからがいいね

A god has a “life file”, which is about the collapse of my cool core. (罪色の合わせ鏡のその奥の君と名付けた僕を抱き取る)

二度三度首をまわしてそのあわい人は窓から道を見下ろす

バスのドア開かるるたびにわが足に冬の日が差す心渇きて

胸ぬちに凝れるものを告げ得ざる秋や五裂のもみぢ色づく

何待ちしひと日の暮れぞいたはりのごとくしづかに靄たちてくる

激情の匂いするみず掌(て)にためてわたしはすこし海にちかづく

父なくば育たぬ種など滅ぶべし月下を豹の母と子はゆく

『夜と霧』つめたきこころのままに読みときどきおほき黄の付箋貼る

わが生に歌ありし罪、ぢやというて罪の雫は甘い、意外に

山に来て二十日経ぬれどあたたかく我をば抱く一樹だになし

今日は寒かったまったく秋でした メールしようとおもってやめる する

手套にさしいれてをりDebussyの半音に触れて生のままのゆび

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