2011年12月のアーカイブ

雑然たる日々のすきまに見えきたる光の如く年を迎うる

田に降りてまだ静まらぬ鶴(たづ)むらの白きゆらぎの中に踏み入る

人恋ふにあらねきさらぎ雪積めばさ夜更けてひかりいづるわが髪

積みてある貨物の中より馬の首しづかに垂れぬ夕べの道は

慈姑(くわゐ)といふ字がいいなあと思ひをり慈姑のやうな青を着ようか

しきたへのテンピュール枕の窪みほど凹んで帰れ(殺さず、死なず)

あかときの雪や雪てふ仮の名をもちて此岸の葦の間に降る

終夜業とどろく露天の工場に立ちつつ思ふ突撃のさまを

袈裟掛けに妻を斬りたる机竜之助の無頼たのしむ風邪の布団に

真夜中のバドミントンが 月が暗いせいではないね つづかないのは

家族には告げないことも濃緑(こみどり)のあじさいの葉の固さのごとし

見せあうものは悲しみのたぐい黒衣きて雪野を遠く来る人に逢う

やはり<明日>も新鮮に来てわれわれはながい生活(たつき)の水底にゆく

twilight in L.A./golden shining reflections/on asphalt pavement/the city becomes holy/everything forgiven

一滴の青を落としてわが画布にはばたく鳥の羽を弑(しい)する

風を従へ板東太郎に真向へば塩のごとくに降りくる雪か

然り、然り、幸福ならむ夫と子と夕もやのごとき魚を飼う日は

まひるまのひかり食べかけのポテトチップスに贅肉のごとき影なせり

林床のどんぐりの実のそれぞれに父母ありしと思う初冬

さりながら死ぬのはいつも他人なり夢野久作荻野久作

木戸あけて茗荷はどこと言いながらははがしゃがんでいるような朝

この子悲しや悲しやこの子朝なさな走る電車の中に自慰せり

全身にゆきのにほひをまとひたるこどもがをりぬ。ほら、わたくしが。

ヒト以外ノモノノ生(シヤウ)ニハ使命有リ晩鴉(バンア)ノ夫(ソレ)ハ感傷ノ駆除

今年またわが門前の若ざくらひらくがあわれ天つひかりに

こわいのよ われに似る子が突然に空の奥処を指さすことも

セケン帝なる皇帝がいるらしいあの日の丸の赤の奥には

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