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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年4月
鳩時計鳴くを止(と)めしが鳩を闇に押しこめし如きこだはり残る
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとゞかざりけり
抑え難く感情の動く二日三日椅子に突き当り階に躓く
わら灰をつくりて心しづまるを帰りし家に感じつつ居る
刈られたる男の髪の燃えつきて夜の集落に理髪店閉づ
扇風機うごきてさらにむしあつし電車に立ちてわが運ばるる
あやまりにゆくとき地図にある橋は鷗の声にまみれてゐたり
寝てきけば春夜(しゆんや)のむせび泣くごとしスレート屋根に月の光れる
顔といふからだのいちぶに自意識のすべてが集ふぶだうのやうに
むらさきの桐の花骸(はながら)を累々と敷きたるやうな夕雲にあふ
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