コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年6月
蔽はれしピアノのかたち運ばれてゆけり銀杏のみどり擦りつつ
デスマスクとられしおそれ水無月の油なす闇に顔をひたせば
冬の医師とわれは思へり椅子ひとつ持ちきて夕べ白くゐるひと
てふてふのてんぷらあげむとうきたてば蝶蝶はあぶらはじきてまばゆ
けものらは滴(しず)ける闇に骨を解き冬の韻(ひび)きのとおく聞こゆる
いじめっこの名前わたしに記憶なしあんのんと生きていろよ名無しで
芋切り干しの端を噛みつつ見上ぐれば晴れわたる空に恥じらいはなし
蝸牛つの出せ青葉の雨あとに人間のほかなべて美し
くれなゐの薔薇(ばら)のかさねの唇に霊の香のなき歌のせますな
ながらへて脆き前歯を欠かしめし白桃の核を側卓に置く
投稿ナビゲーション
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ