2012年07月のアーカイブ

のちの世に手触れてもどりくるごとくターンせりプールの日陰のあたり

お詫び

せりあひの球辛うじて蹴り出だしはづみに体宙に浮きて墜つ

一夜漬けの一夜があらず文月に素手で試験に子は立ち向かう

この夕べ片附け終へし文机にあはあはと置く埃を拭かん

水をあげてもあげても枯れる庭なのにあとからあとから観客が来る

カレンダーを家族の予定で埋めし日々終りていまは詳しく知らず

春愁が人のかたちをしてわれに会ひに来てもう六人目なり

嘴赤き小鳥を愛でゝしろ銀の皿に餌をもるゆく秋の人

犬小屋はやみの住処となりはてて媼が見よといふ犬みえぬ

しらしらと老のしら髪ぞ流れたる落葉のなかのたそがれの川

エンターキー押して改行のみをせしごとき一日(ひとひ)の果ての満月

池水はすり鉢状に渇水し搏動(いき)のごときを岸辺に刻む

ばら縷縷と続くばら園 ゆく先に花ある生(よ)などもはや思はぬ

どんよりと空は曇りて居(お)りたれば二たび空をみざりけるかも  

すべての菜の花がひらく 人は死ぬ 季節はめぐると考えられる

五月雨に物思ひをれば郭公夜ぶかくなきていづちゆくらむ

エスカレーターいったん平たくなるところわりと長くて歩きだすところ

いるんだろうけど家に入って来ないから五月は終わり蚊を見ていない

マンホールの上を行くとき水音を聴きとめて「川なの?」と妻は訊きたり

かぎりとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり

日本人は刻苦勉励をこのむゆえ最終回にクララは歩く

夏にみる大天地(おおあめつち)はあをき皿われはこぼれて閃く雫

折り目よりちぎれゆく地図アラビアの海の青さをテープにとめる

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