2012年08月のアーカイブ

炎天下掃除のさなか後悔と仏教関係の本が湧きたり

鬼神もあはれと思はむ桜花愛づとは人の目には見えねど

「食べるべし大豆、納豆、豆もやし」独り暮らしの夫にメールす

うつし身はあらわとなりてまかがやく夕焼空にあがる遮断機

満月 皺ばめる心を押しひろげ来るもの悲喜のいづれと知らず

わが体が、のうっと高く/伸びるごとくおもはれて、/ふいと佇みし。

とおからぬ日のきたるべき春に待つ、でもみみかきにひとすくいほど

見ることなきはらわたなどを思うとき恥多き身が立ちあがりたり

舞台上いつぱいガラスの破片撒き劇中それにはいつさい触れず

救急車が通り過ぎたら右肩がカパッと開いてカプッと閉じた

あちこちで瞬くひかり人の役に立ちたいって顔をかき分け進む

病むわれをなぐさめがほに開きたる牡丹の花を見れば悲しも

なんだか、/なんだかとつても/かなしいんだ//サン・マルコ広場の人/鳩まみれ

さ夜ふけていくさの塲(にわ)にきて見ればほむらたちのぼる屍(しかばね)の上

気が付いた時には世界の中にゐて海見むと海に来るのことのあり

紫の理想の雲はちぎれぎれ仰ぐわが空それはた消えぬ

折り返すマラソン走者のおほきなる呼吸がわれの呼吸こえゆく

熱を病むわが子の脈をさぐりつゝ窓ごしに見る日まはりの花

あまだむ軽きジャンプの終るまで地球の自転やや遅くなる

「行つて来ます」言はずに登校したる子の茶碗のねばねばいつまでも洗ふ

いくたびも顎打たれたるボクサーのふたたびを起つ意志を恐るる

はすかひに簷(のき)の花合歓(ねむ)うつしつつ化粧鏡は昏(く)れのこりたり

霧深きテニスコートにボール打つ少年の脛細ければ消ゆ

身の中にマブチモーターを仕込んでるとしか思えぬ奴の素振りだ

両親が出会ったという群青の平均台でおやすみなさい

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