2012年11月のアーカイブ

やめようときめたのは尖端ではないのだらう蔦があんなところで

水鳥の頸のかたちの親指が吊革にあり首都冬に入る

妹とわれとあはせて百キロの巨漢となればあはれ自転車

電車から駅へとわたる一瞬にうすきひかりとして雨は降る

着るたびに気づき脱ぐたび忘れたり今にもとれそうな喪服のボタン

派や系でくくって話す 単純化した部分だけ伝えるために

木の命気負いしころもあるならん下駄の木目に素足を載する

路上にて少年は踊るはだか馬のような背筋月にさらして

きざすとききみはいなくて弦楽のうねりに脚をからめていたり

古い付箋の位置をずらしてまた戻す記憶のうらの蛇を見しごと

夜の風はしげく吹き入り先生はかけ衣(ぎぬ)の下に動くがにみゆ

風狂ふ桜の森にさくら無く花の眠りのしづかなる秋

思い出が痛くて眠れぬ夜半の雨オキシドールのように沁むるよ

夕霧にほのか濡れつつローソンの青き光をくぐる獅子舞

ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる

おなじ地におなじ木ならび今日もまたおなじ葉と葉とあひ触れて鳴る

充電器に鎮座している携帯の何かに似ている そうだ位牌だ

ねむりつく方法みつけられなくてあるだけ莢の豆はじきだす

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