2013年04月のアーカイブ

白藤の花にむらがる蜂の音あゆみさかりてその音はなし

きららかについばむ鳥の去りしあと長くかかりて水はしづまる

濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ

歳月に意味を問うなら問うことの問いの形がとり残さるる

水に浮くこの全身がわたくしのすべてであれば重たし水は

雪をつむ喫泉の先へ伸びあがり口づくる子の足もとも雪

泣いた、右の乳首を噛みちぎったら――――――無限界乃至無意識界

今われは都市の貌(かほ)して足早に群れの流れの中に融け行く

三五夜の月、窓に来てひんやりと照らす天上寺仏足石文鎮

弟のかんばせ蔽ふ白布(しろぬの)を落葉の匂ふ風が通れり

佐太郎がスフィンクスに譬へたる魁偉の戦車はM4ならむ

会ふ人の皆犬つれし小公園吾が曳く白狐他人(ひと)には見えず

羆の身ゆるりと返りこなた向く花の散り込む檻の片隅 

窮屈な機内に足を組み替へるやうにゆつくり話題を変へむ

ポルトガルの設計ミスのティーポット日曜なればかまわず使う

後ろより誰か来て背にやはらかき掌を置くやうな春となりゐつ

ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり

ふり向いて影たしかむる坂道にひと日のわれと俺とが出会ふ

温室のドームの屋根につかえたる椰子の葉二枚がふれている青

よろこばしき泉水に来ぬわたくしの喉の奥より蟇(ひき)のこゑ ククッ

にんげんとなりたるか傘さしてくる鉄の眼鏡をかけてアトムは

かうするつもりだつたが結局かうなつた 長き一生(ひとよ)を要約すれば

華やぎのいまだ残れる西空に一揆のごとくわがゆかむとす

月光の柘榴は影を扉におとす重き木の扉(どあ)なればしずかに

11mm径40mm長マグナム弾愛に殉じて炸裂したり

こんなにも太つてしまひし青柿よ六月まひる出会ひがしらに

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