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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2013年5月
冬天に残る柘榴のひとつのみ瑕瑾だらけといふが愛しも
「俺はなあ」つぶやいてみる川風に力が沸いてくる気がして
芝の上(え)のわが椅子倒し昨夜またさびしく八ヶ岳颪ゆきしか
「中央線で死ぬことなんてやめてほら日高本線でのびのびと死ね」
わが家の貯えなどを妻に問う夜の川辺の歩行のおわり
すべり落つるその瞬間に白き皿は思ひ出だせり鳥なりしこと
カーテンのむかうに見ゆる夕雲を位牌にも見せたくて夏の日
寝るまえの円卓にしてしずやかに馬の肌のいろのパンあり
みどりのバナナぎつしりと詰め室(むろ)をしめガスを放つはおそろしき仕事
潮あかり顫へてとどく岩に寝て燕の誇りをわが誇りとす
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