2013年12月のアーカイブ

黄昏は雲より水へ溶けゆきてそのままうたふ川となりたり

あたたかき日に氷片のごとき日をはさみて冬のはじめ子は癒ゆ

まつぼくりきのうひろってきょうひらきいえあだだかいゆぎもまんがい

コマーシャルのあひだに遠く遅れたるこのランナーの長きこの先

気が付いた時にはすでにしやべつてた日本語だから気付かなかつた

逆光の扉(どあ)にうかび少女立てばひとつの黄昏が満たされゆかむ

影絵より影をはずししうつしみはひかり籠れる紙に向きあう

少年の糸鋸(いとのこ)一つ残りいて夕陽にひろき工作の部屋

うなだれてゐたるうばらが水上げて勢ひづいたりしやきつとしたり

今日は水出でぬ噴水の渇きいてあからさまなる空間が見ゆ

採光窓歩道に開けば地階よりの光漏れ来ぬわが足もとに

日の丸はお子様ランチの旗なれば朱色の飯(いい)のいただきに立つ

行つてはだめよと言へばいつせいにふりかへるしづかな老人しづかな子供

「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」

あなたとふ管の湿りをのせてくるこゑに纏はり恋ふ人われは

忘れてしまうものとして聞く生い立ちに母と別れた夏の日がある

すすみゆく時にあふともいそのかみふるきてぶりをわすれざらなむ

おそろしき桜なるかな鉄幹と晶子むすばれざりしごとくに

要するに世界がこはい 夕立に気がついたなら僕に入れてよ

なつかしい野原はみんなとおくから来たものたちでできていました

子供より親が大事、と思ひたい。子供よりも、その親のはうが弱いのだ。

レジの女(ひと)の指(おゆび)がひどく荒れてゐる指がわれにおつりを呉れぬ

佐々木ならず佐佐木なることだいじにてその後我は誤たずけり

緩き時間まとう木橋を渡り終え人は陽射しの中へ還らむ

雨荒く降り来し夜更酔い果てて寝んとす友よ明日あらば明日

道ひとつ渡りて小さくなる兄の振り返り見る父も小さし

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