2014年01月のアーカイブ

われに似るさが持つ者をはぐくめる妻をひそかに懀みゐるなり

ちと一本拝借するぜ蕗の葉を傘に旦那は雨の花街

アパートの二階に人の帰りきて灯すとき窓の氷柱(つらら)もともる

かひごぞよ帰りはてなば飛びかけり育みたてよ大鳥の神

われといふお試し品のクレヨンで神は世界をぐるぐる描く

花々が少しづつ季節をまちがへて咲き散り咲き散り濃い闇が来る

選挙あれば夫婦の顔してわたしたち幸せさうに投票へ行く

入りがたの峰の夕日にみがかれてこほれる山の雪ぞひかれる

鮭の死を米で包んでまたさらに海苔で包んだあれが食べたい

鳥のこゑ松の嵐の音もせず山しづかなる雪の夕暮

突き出して眼下ににゅっと視野ふさぐコブハクチョウのコブとはなにか

冬山の青岸渡寺の庭にいでて風にかたむく那智の滝みゆ

君ならぬ車つれなう門(かど)すぎてこの日も暮れぬ南河内(みなみかはち)に

嘆きつつ乳房を我に委ねたるをみなのこともいまはまぼろし

時を消すために相撲を見つつをりときどき光る行司の扇

海じほに注してながるる川水のしづけきに似て年あらたまる

どこまでもつづく野の道あゆみゆく継ぎ目といふのがないのが不思議

高ひかる日の母を恋ひ地の廻り廻り極まりて天新たなり

厨べにすてし茶がらは凍りつき雀は降りて餌を探すかも

きつね妻子をおきて去る物語歳かはる夜に聞けば身にしむ

よきお年をと言ふに自信のあらずしてわれの声音は曇りてしまふ

遠き代の安倍の童子のふるごとを 猿はをどれり。年のはじめに

皮やぶれ真白く餅のふくるるを稚(わか)きこころに待ちをり吾れは

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