2015年02月のアーカイブ

こころみに石をひろひて投げて見むねぶるが如し春の川水

地下鉄のなかを泳げる魚かなザジに小さなくちづけをして

 をのもしれなきてしおもてひとしらしとひてもをしてきなれしものを

晩年はおんなどうしで暮らしましょう木の実草の実分けあいながら

 老いの書に史記をひもどくいつよりか如月いまだ立ち戻る冷え

昔はもつと寒かつたのだアルバムに残る写真はみな着膨れて

 マラソンの三万人の人の河都市の静脈を流れゆきたり

ヒーローはみんなを助ける人なりと京王線にをさなご元気

 寒晴れの真白き山のとんがりを奪ひてゆかな明日の心に

しらたきをずぶりと摑み水を切るこころに触れるってそうこんな感じ

 紅梅の花にふりおけるあわ雪は水をふくみて解けそめにけり

点子ちやん、点失ひて純白の老猫の写真撮つてもらひぬ

水低く鳴き渡る鴨力あり明日ならず今日ならぬ闇のはざまに

一枚のチコリ剝がしてその舟にあなたを乗せむ すこし揺れます

病得てすこし向こうへ深くなる顔はあなたの顔のままだが

きみが撮るピンボケ写真に眠さうな、でもおだやかな表情のぼく

打ちこみゆく仕事われにあれ棋士ふたり投了ののち黙して憩える

ゆるやかにピアノの中にさし入れる千年前の雨の手紙を

身体もう返上したいといふ母よ椿のはなを食べにゆかんか

君の触れねばわれも触れえぬさみどりの水のめぐりを二人めぐりぬ

 ジェンダー講座の学生いわく「平等と幸福は必ずしも両立しない」

首ひとつ抜ける一瞬セーターはまだ来ぬ春の夕焼けを見す

目には目を 一念のはてかきくもり残れる彩ぞ木賊するどし

有事にはテロ対象の一つなる職場か夜のビル風強し

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