2015年06月のアーカイブ

暴力でオキナワくらいはなんとかなると軍用道路で話しているよ

水たまりふたり喪服の老女越ゆ ふふん鼻歌たしかに聴こゆ

アメリカの論の後追ふ学会が果てしのちわれは阿蘇を見にゆく

音は消ゆ人も逝きたりめぐりやまぬ季節のなかに残る音楽

世の中は夢かうつつかうつつとも夢ともしらずありてなければ

誓ったり祈ったりしたことはない 目を離したら消えていた鳥

逢わねども存在としてわが沼のごとき五十年充たして呉れぬ

暗緑の森から森へ続きゐる点線をつないだら く・ま・ぐ・す

管理ニモ監視ニモ慣レヒグラシノ我等完全無欠ノ死体

「2度熱傷」そのものなればするたびに心が痛むトマトの湯剝き

たはむれにロシア人ひとり生み出しぬステパン・アサリノヴィチ・フローニン

もう二度と行くことのない秘密基地こころにひとつ抱えて眠る

艦砲射撃坪九百発の読谷村ハイビスカスは芯立てて咲く

鈍器もて人打つごとき音をたて自動販売機のジュース落つ

ほしいままに眠るといふこともあらざればじんじんと頭の芯のつめたさ

黴くさき書をめくりゆくわが指の間近くありてふれぬひとの指

ひしひしと頰を打ちくる草の実のけはひばかりに形は見えず

つまさき立ちのエノキ無音に叫びをり「わが従順を侮るなかれ」

一秒後には冷えにけりさわらびのぼくと天使とぼくのスラング

窓のそとに木や空や屋根のほんとうにあることがふと恐ろしくなる

遠くに近くに熖はいまはいちめんなりいづくに行くかこの八衢を

美しき球の透視をゆめむべくあぢさゐの花あまた咲きたり

まなざしに耐へむと思ふ仄ぐらき杉やまは杉の息の青むに

さし迫るやうに沸き立つ湯の底にことりことりと触れ合ふたまご

御諸つく三輪神蛇の男神なまのたまごは置かれてゐたり

人魚姫と王子が出逢うその脇でわかめになってそよぐわたくし

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