2015年11月のアーカイブ

小さき粒子の集まりに過ぎぬものなれど写真は語るまことらしきもの

うつぶせになれば怒りも伏せられるのかうつぶせになってみよ

女とはかかるものにて妹が晴着脱ぐとてまたおほさわぎ

肌しろき不良に煙草を投げられし地下道の闇が夜へとつづく

モーニングコール十分前から待つ夫とローマ二日目いさかいをせり

干すまでは洗濯たのし取り入れてたたみてしまふときにひとりぞ

あたたかきパンを齧りて口早にきみが「せんそう」と言う一瞬の闇

とほくにて戦報をいふラヂオありしづかにもえて音なきもみぢ

飴玉の包み紙をすてるまえに折りたたむひと そのくせつめたい

あしびきの山のはたけに刈りのこす粟の素茎を見てすぎにけり

「気持ち塩を入れます」時のその気持ちよく分からない 白菜しんねり

貧しさは人のこころを毀つとぞ壊れし子らの教室に吼ゆ

触れられて哀しむように鳴る音叉 風が明るいこの秋の野に

冷や飯を湯漬けにさらっと立ち食いす午後は氷雨になるやもしれず

惡意には二、三パターンあるけれど玉子のやうに見わけつかない

一太郎は少数派なりそれでいいさうしていつも片隅にゐる

私といふ本に目次はありません好きな所からお読みください

公園のふん水に立つ尺のにじわがよろこびもそれほどの事

読み終へて本を閉ぢれば作中の人らそのやうに在る外はなく

公園にベンチのあればゆるゆると吾より先に影がちかづく

報道がテレビに移る過渡期なる四半世紀を新聞にあり

放物線を描いて谷に落ちゆくは鳥?否、礫?否、ひとつやくそく

風中に公孫樹ちるなり幸福な王子が金を手放すように

夕刊を読みをはりしが妙高に雪降りつみし記事も親しも

ひとしづく、またひとしづく降り出でて秋に入る雨寒からず静か

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