こうやって子供を好きになってゆくのだろう青に変わるまでの信号

永田淳『1/125秒』(2008年)

母親は、身体のなかに胎児をはぐくみ、産む。そして、ほとんどの場合、この世に生まれてきた自分の子どもをあたりまえのように愛せる。
男性と女性とでは自分の子どもへの愛情の注ぎ方や接し方が違うのはわかっていたつもりだけれど、父親はこんなふうに子どもを受け入れていくものだったのか。

上の句は、子どもと一緒に信号待ちをしているときにふと浮かんだモノローグなのではないだろうか。
もちろん、自分の子どもを愛するのは、そんなに努力のいることでもない。だから、この歌のように信号待ちをしている短い時間、一緒に並んで立っているだけで充分だったのだ。

「好きになってゆく」というフレーズが、等身大の父を思わせる。それはきっと、父として子どもを授かったというのではなく、同士として最も近い存在を得たという感覚なのではないか。
このお父さん、とてもうれしそうだ。
かけがえのない喜びは、どのようなひとときにも存在する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です