鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ怒濤の海を 飛びゆく鳥のように

坂村真民「はな」第176号。本多豊明筆「宝積寺と坂村真民の詩碑」より。

 詩の冒頭部分であるが、最初の方がぱっとみると自由律の短歌のようではないかと思って、出してみた。続けて引用する。

「…人も混沌の世を 生きねばならぬ 鳥は本能的に暗黒を突破すれば 光明の島に着くことを知っている そのように人も 一寸先は 闇ではなく 光であることを 知らねばならぬ 新しい年を迎えた日の朝 わたしに与えられた命題 鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ」

本多氏の文章によって、はじめてこの詩を読み、私も「深く感銘したので」同じく全文を写してみた。

年を越す挨拶のかわりに、この詩を引いた。坂村真民は短歌も作った人だそうだ。平成十八年十二月に九十七歳で卒したという。

いたらぬところの多かった一年間の連載を終えるにあたり、読者の皆様に心より感謝の言葉を申し上げておきたい。