江戸雪『駒鳥(ロビン)』(2009年)
平和ですの、という花の口調に、ふと『星の王子さま』に出てくる花を思い出した。
美しく高慢で王子さまを困らせる花。
このひまわりも何だか上品ぶっている。そして自分のいるところは大丈夫と、気持ちよく風にゆれている。
「ひまわり風にゆれるひまわり」から、すぐ思いだす歌がある。
・ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり 永井陽子
この歌が意識の底にあるはず。
永井の歌にある、茫洋とした広い空間、その空間を冒頭の歌にかぶせてみる。
すると「平和ですの」と澄ましている、この花の気どりのもろさ、そのはかなさがいっそう胸にくる。
「ひまわり」に、今の日本人を見ることもできるが、こううたわれると、能天気なものだ、というよりも、何といたわしいと思われてくる。