真中朋久『雨裂』(2001年)
ふだんは内勤。
室内で働いていると、朝と夜の間がすっぽりぬけているような感覚になることがある。
そんな日々の中、今日の午後は外に出た。
上二句は、自分の状態の比喩なのだが、この描写はまた、石ころが落ちているような道で、バスを待っている姿も思わせるところがある。
勤務時間の中にぽっかりとあいた時間に「しみじみと」ゆるめる心と体。
「石ころ」というと、つまらないものの意味でも使われるが、小さいなりにしっかりとした実体を感じさせるものでもある。
お日様によりあたためられた、手の中に握りうるサイズの「石ころ」ほどの充実は、またないともいえる。
ささやかなその充実を、勤務時間という枠が際立てている。
身めぐりのちょっとした自然に触れてつくられる歌がいい。
・ゑのころのそよぎゐるあたり草苅りてもう一棟を建てるとぞいふ