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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
靴音となり人のゆく地下道の靴音の群へわれも降りゆく
リストラというよりかつての日本語は端的率直馘首と記す
眼にふれて時にひかるは春の日に蜘蛛の糸など飛ぶにかあるらし
原発が来りて富めるわが町に心貧しくなりたる多し
流されて家なき人も弔ひに来りて旧の住所を書けり
苦しいと思えば呼吸を思い出す/苦しいと思えば浪江を思い出す
被災せし人は誰も見ず 鳥瞰的津波映像を見るはわれらのみにて
若狭より水を送りて大和にて汲みあげている春の仕来り
はまぐりの汁澄みとおる雛の夜に俄かに母の老いふかみゆく
薄墨のひひなの眉に息づきのやうな憂ひと春と漂ふ
雨の日はももいろの傘さしてゆく幾千のももの桃色のあめ
湯に入れば湯殿に母はつき来り我が背を撫でて泣きたまふなり
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