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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
無花果の果実ざくりと開かれて雨の市場に身をさらしをり
波がしら一つに寄せて立ちあがり暗き濁りの岸にとどろく
名残思ふまくらに残る虫の音はゆめの跡とふ心地こそすれ
中垣のとなりの花の散る見てもつらきは春のあらしなりけり
けつたいなしぶい子やつたそれがかうほとりと美味い、渋柿を食ふ
鳥語 星語 草語さやかに秋立ちて晴れ女われの耳立ちにけり
氷売るこゑもいつしか聞きたえて巷ちまたのやなぎ秋風ぞ吹く
食堂の黄なる硝子をさしのぞく山羊やぎの眼のごと秋はなつかし
うしろより『わ』とおどせしに、/先方の、おどろかざりし、/ ごとき寂しさ。
薄日さすしろい小皿に今朝もまたUSBを置く静かに
古屋根に雨ふる駅の小暗さがのどもと深く入りくるなり
すっくりと秋冥菊が咲きだして姉なき今年の秋がはじまる
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