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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
やがて海へ出る夏の川あかるくてわれは映されながら沿いゆく
核実験大成功と歓声の上りたる場所トリニティサイト
捨て身の如くねむれる猫のゐて海は膨ふくらみを夕べ増しくる
雲を見て今得し歌の片はしを山の鵯鳥ひよどり鳴けば忘れぬ
白きシーツに黒き二つの眼が澄みてしづかに人の瞬きをする
鉄くろがねと陶器と硝子と風鈴三つおのづから鳴りおのがじし鳴る
人間は世のひとかたに去りしごとひそけき昼を爬虫類出づ
股関節こくつと鳴りぬストレッチは自分のからだを捜すものなり
硝子戸の外にて雨はふるとみえず梅の葉が昏くぽつりぽつり動く
卓上に綿棒いっぽん横たわり冬の陽射しに膨れはじめる
麻痺の子の逝きて時経し向ひ家に人の笑ひのきこゆと妻は
桃の木はいのりの如く葉を垂れて輝く庭にみゆる折ふし
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