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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
棚木 恒寿
脱ぎ捨てればひとでのやうに広がれるシャツが酸つぱい匂ひを放つ
日の下に妻が立つとき咽喉(のど)長く家のくだかけは鳴きゐたりけり
もうまもなく止む雪らしい 夕刊にビニールの掩ひ懸けられてても
つの かる と しか おふ ひと は おほてら の むね ふき やぶる かぜ に かも にる
おほかたの秋くるからにわが身こそかなしき物と思ひ知りぬれ
馬は人より天にしたがひ十月のはがねのかをりする風の中
さしあたり今朝は虚無にも逢はざれば小走りに廊下行けりわたくし
けぢめなく吾のこころのおどおどとしたる恐れよ電車にをりて
悲し小禽つぐみがとはに閉ぢし眼に天のさ霧は触れむとすらむ
貝の剥き身のようなこころはありながら傘さしての行方不明うつくし
うちつけにものぞかなしき木の葉ちる秋のはじめになりぬとおもへば
忍ぶ軒端に 瓢箪は植ゑてな 置いてな 這はせて生らすな 心の連れて ひょひょらひょ ひょめくに
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