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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
読むべき本すでに読みつと言ひて子は図書室登校やめてしまへり
休息の静けさに似てあかあかと水上警察の右に日は落つ
月かげを
背後
そびら
に溜めてなかぞらを量感すごき五月のむら雲
花苑のような合唱の波のなか舌足らぬ聲を探しはじめる
この沼の底に冥府はあるならむ「はや舟に乗れ、日も暮れぬ」の声
人影のまつたく消えた街のなかでピエ・ド・ネエをするピエ・ド・ネエをする
童貞に向けられている放送を処女の私はひっそりと聴く
ねむるときとどろきをりし雨の音あかとき聞けばはらつきにけり
君が死を聞きし夜より通夜までの四日間吾に経血のあり
頭とは何ぞと問ふにジャコメッティ端的に応ふ胸の付け根
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