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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
あたたかき日に氷片のごとき日をはさみて冬のはじめ子は癒ゆ
魂は人にむくろは我に露ながら夏野の夢のなごり碎くる
檜の香部屋に吹きみち切出しの刃先に夏の雨ひかりたり
妖怪はいて怪獣はいなかった 帽子を脱いで沼を見ていた
拾い読みして戻すその本の背文字が光りその本を購う
きっぱりと降りる初霜 わたくしの嫌うひとにも苦しみはある
ダンカンのように思わぬ死のもしやわれにあるやも 夜の水飲む
茫然と来りてまなこひきしむる生きいそぐもの蝶のいとなみ
北岸に暮らしていても晴れた日は眉山が見えて窓に呼ばれる
壜詰の蟻をながしてやる夜の海は沖まで占領下なり
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