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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
透明な魚を硝子の鉢に飼ふ少女は病める脊髄もちて
わたしここで何やってんのと呟けば海ハイ雲ヴァン峠にたなびく霞
わがうちに崩壊しゆくものの音聞ゆるごとく窓に月照る
うすぐもる青葉の山の朝明にふるとしもなき雨そそぐなり
湖うみのほとり青の光につつまれて神はしだいに遠のきたまふ
海色のききょう咲きたりぽぽぽんと夫の告別より戻り来たれば
かたはらにおく幻の椅子一つあくがれて待つ夜もなし今は
蝶なりしころの記憶が湧き出でてスティック糊がころんとうごく
幻燈に青く雪ふる山見えてわれに言こと問うかえらざる声
つたかづら生き生き家を巻き締めて閉ぢこめられし仏壇ひとつ
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