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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
人類を森口博子を知る者と知らない者に分けて秋雨
木の家に石の男と棲みつきて秋冷の夜の豆を煮てゐる
一年に十分の時を先に行く居間の時計にわれの従ふ
休日のわたしがガラス戸に映りふつうの女の人のようなり
咳こみて口にあてたる掌が不意に他人の匂いを放つ
魚に鱗、樹木に年輪あることのさびしき
朝
あした
ぐんと老いにき
コンビニの麵麭と水だけ口にしてとがらせてゆく秋の結末
一年に一度の排水管掃除の日 やはりあの無愛想なサルトルがきた
一年にひとつずつしか大きくはなれぬ子どもと鴨を見ており
抜けてきたすべての道は露に消え連続わたし殺人事件
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