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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
閉店のやさしい音楽が流れて、旅を勧めてくる雑誌を閉じる
「東京に生まれることも才能」と言いし人ありわれもしかおもう
まあそこに居つたらええよ、なんとなくほつと咲いてる木瓜とわたしと
はかなしな夢にゆめみしかげろふのそれもたえぬる中の契は
沼に沈む悲しき馬の嘶きを聞きてあわてて絵本を閉ぢる
新月はまだ宵ながら没いらむとす星のひかりの空にさやけき
ゆらゆらとわれの寝覚めし朝焼けはほのおのようなダリヤのような
問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい
壁のそばに葉が揺れてゐる葉のうらに風が光つてゐる五月であるも
雪の辻ふけてぼうぼうともりくる老婆とわれといれかはるなり
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