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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
花山周子/春風に杉の樹冠は揉み合える戦にも似る交合のさま
真中朋久/山越えの風にふるへる大枝を寒の夜尿(ゆばり)しつつ思ふよ
鈴木陽美/伸びた分だけしか切らず変わらないわたしが初冬の街に出てゆく
式子内親王/時鳥そのかみやまの旅枕ほの語らひし空ぞ忘れぬ
黒﨑聡美/海苔缶にゆび弾ませててきとうなリズムを生めば少しあかるむ
大辻隆弘/箔かろく圧したるごとき雲はゆき風明かりする午後となりたり
黒﨑聡美/待合室はさいしょに暮れてさかさまに戻されていた雑誌を直す
白石瑞紀/さざんくわの咲きゐる枝の両腕を空にさしあげ雪だるまをり
浜田蝶二郎/かうするつもりだつたが結局かうなつた 長き一生(ひとよ)を要約すれば
遠藤由季/風立ちてわが額へと注がれる落ち葉の痛し洞ならざれば
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