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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
ひと夏の夏百日の一日の金赤のダリア黒赤のダリア
フェルディナン・シュヴァルよ、蟻よ、かなへびよ、わがいとほしきものは地を這ふ
一艘の右舷に倚りて観る花火かたむきながら人らさびしい
たそがれのコープ岩倉に購ひぬ「わけあり二十世紀」を三つ
みいんみん みんな死んだよ 子供らはアイスクリームの味も知らずに
聖橋したにたむろする浚渫船ややに暴力の気配を帯びつ
三人だけの歌会であればいつまでも山の話がつづいてゐた窓
落ち蟬に触れてするどき羽ばたきよ死ぬ間際まで生きてゐる蟬
おそらくは今も宇宙を走りゆく二つの光 水ヲ下サイ
こんなにもきれいにはずれる翅をもつ蟬はただひとたびの建物
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