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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
雨垂れの音飲むやうにふたつぶのあぢさゐ色の錠剤を飲む
妹をさがしゆく夕 どの貌も妹に似てあぢさゐなりき
錠剤を押し出す力の弱ければはるかな岸の鹿を恋うなり
死者のもつ愉しみは知るよしもなし野川の底のさかしまの天
湿り気を空が含んでくる時に言葉は少し曲げやすくなる
夕ぐれは肉のもなかに盛んなる肉屋の指をかいまみるかな
石は無欲、だらうかしかし墓石はやけに光つてゐるではないか
本来の用途を外されてしずか/古い書籍が住む/食器棚
バーテンが愚痴をいなして生ハムを刻みに消えし厨明るし
すずらんのように体を屈めつつふたつの乳房をまとめる朝は
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