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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
にしびさす書架の森よりあらはれて椅子のかたちに人は座れる
スカートがわたしを
穿
は
いてピクニックへ行ってしまったような休日
ブッシュより野兎ふいに現れて我の視線を引っ張ってゆく
ふはふはの溶き玉子掬ふ木の匙の遠つ世のあはれ高安の
女
をんな
ねるまえに奥歯の奥で今朝食べたうどんの七味息ふきかえす
四つ辻の夜の
灯
あかり
のさみしけれわれより引き出す影ふたつみつ
〈僕〉といひ〈俺〉ともいひて定まらぬわれを知りつくす晩春の河
その妻を遁れむとして投げしもの
若筍
わかたけ
食めばつくづくうまし
あなたからはなれて暮らす晩春の机に置かれている裁ち鋏
蒸し焼きの豆腐を「おにく」と頰張れる吾児よ気づくな父の歌業に
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