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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
ノウミソガズガイノナカデサドウシテセカイハイミトコトバニミチテ
フランスの語彙を学べるわが上にああ月(リュヌ)といふ此岸の出口
手品師の右手から出た万国旗がしづかに還りゆく左手よ
故郷近くなりて潰せるビール缶の麒麟のまなこ海を見るべし
ときおりは呼びかわし位置を確かむる秋の林に家族は散りて
ぼそぼそとももいろの塊(かい)食べながらハムも豚だと思い出したり
大馬(おほうま)の耳を赤布(あかぬの)にて包みなどして麥酒(ビイル)の樽(たる)を高々はこぶ
秋光のいまなにごとか蜘蛛の巣に勃(お)こるまでわが視野の澄むべし
〈姦〉なしてマヌカン積まれしコンテナ車過ぎしか不意に寒ふかき夕
夕かぜのさむきひびきにおもふかな伊万里の皿の藍いろの人
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