コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
飛鳥仏に会いたるのちは貌という果実のひかり夕べの奥に
こひねがい潰(つひ)えたる夜を黙しゐて子の万華鏡のさまざま覗く
つばくろが空に搬べる泥の量(かさ)ほどのたのしみ君は持つらし
傷あらぬ葩(はなびら)のごとかばはるるうらがなしさに妊(みごも)りてをり
梅雨くればふかきみどりに揺れやまぬ肌のひかりがこの国のひかり
てのひらに稚きトマトはにほひつつ一切のものわれに距離もつ
月光の溜る机上に脚すこし開きてコンパス泳ぎはじめる
寄り弁をやさしく直す箸 きみは何でもできるのにここにいる
オレンジの切り口あかるき朝の卓遠くで鹿が角を切られる
泣き濡れてジャミラのように溶けてゆく母を見ていた十五歳(じゅうご)の夜に
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
396
固定ページ
397
固定ページ
398
…
固定ページ
472
次のページ