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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
月光の溜る机上に脚すこし開きてコンパス泳ぎはじめる
寄り弁をやさしく直す箸 きみは何でもできるのにここにいる
オレンジの切り口あかるき朝の卓遠くで鹿が角を切られる
泣き濡れてジャミラのように溶けてゆく母を見ていた十五歳(じゅうご)の夜に
くちなはの水を切りゆくすばやさをちらと見しより心やぶれぬ
たまり水が天へかへりてかわきたるでこぼこの野のやうにさみしい
溜められし雨水に残る死のにおい凡庸のわが庭に撒かるる
叫喚(さけび)上ぐ高層ビルの解体の瞬時逃げおくれしたましひが
戸棚よりコーヒーカップ取り出しぬそつと世界のどこかに置かむと
体には傷の残らぬ恋終わるノンシュガーレスガム噛みながら
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