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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
残党を狩るごとく口腔内のフォワグラ舌で拭ひたりけり
人どよむ春の街ゆきふとおもふふるさとの海の鴎啼く声
干し網は白く芝生にうたれつつ輝く時のいまは過ぎゆく
心底をのぞけば仏像を彫る男ゐて折々の鑿(のみ)が光れり
しづけさは座卓のしたのゆふぐれの猫のぬくもり右腿に添ふ
美(は)しきもの告げるにはやき仲なれば沈む夕陽は沈ませておく
蒲団より片手を出して苦しみを表現しておれば母に踏まれつ
まもなく君が帰り来る夜を見つめたり あをあをと埃のやうな月光
こんなにも赤いものかと昇る日を両手に受けて嗅いでみた
若ければジゴクノカマブタという花のつまらなく咲く春の畔道
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